魔王に忠義を

礫を浴びせられたにもかかわらず、アキラは目すら閉じずに俺を見据えていた。

礫に乗じて俺が仕掛けるのを読んでいたのか。

それとも常に敵からは視線をそらさないという彼の真っ直ぐな姿勢が為せる業なのか。

それはわからない。

ともかくアキラは怯む事なく俺の攻撃に真っ向から立ち向かい。

「な…」

討竜の剣の刃を返していた。

剣の峰の部分。

鋸状の刃の部分で俺のブレードを受け太刀する。

…その刃は、一体どれ程の切れ味を誇るのか。

世界最硬の硬度を誇るであろうアルマズの刃が、その鋸状の刃とぶつかるだけで一気に刃こぼれした。

まして高速回転する刃だ。

ブレードは見る見るうちに切れ味を失くし、只のガラクタと化す。

…討竜の剣の峰には、牙竜の牙が加工された刃が取り付けられており、その刃はたとえ鉄より硬い甲殻を持つ魔物さえも切り裂く。

その事を思い出したのは。

「くらええっ!」

アキラの反撃の刃を胸板に受けた直後の事だった。