魔王に忠義を

しかし俺は言葉を連ねる。

「俺がこの場で捕縛されようと、いずれ我が秘密結社の同胞が再び魔王様復活の為に動くだろう。俺を死罪にした所で、何の意味も為さないのだ!」

邪な笑みを浮かべて笑い続ける俺に苛立ちを覚えたのか。

ライスト軍人達は俺を地面に押し倒し、後ろ手に拘束した。

「話は尋問室でゆっくり聞かせてもらう。ライスト軍の取調べはきついぞ、覚悟しろ!」

引きずり起こされる俺。

そのまま両手を掴まれて、軍人達によって連行される。

「……」

俯き、薄笑みを浮かべながら、俺は心の中で呟く。

…これでいい。

所詮闇の中を這いずり回ってきた人生だ。

僅かな間だけ、光を浴びてきた連中とつるんでみたが、楽しい時間はここまで。

俺にかかわればアイシャやアキラ、ナハトまでお尋ね者にされかねない。

悪党は俺だけでいい。

秘密結社のヴァン・アルナーク。

俺はそういう汚名を背負ったままで人生を終えるのだ。