魔王に忠義を

だというのに。

「ヴァンが魔王討伐に尽力したのは認めるのね?」

口を挟む者がいた。

誰あろうアイシャだ。

「彼は確かに世間的には犯罪者だけど、同時に世界的な危機を救う為に剣を振るった…いわば英雄でもある。そこん所を評価せずに、罪状ばかりを騒ぎ立てるのはどんなもんかしら?」

「む…」

アイシャの達者な物言いに口を噤むライスト軍人。

「俺も同感だな」

アキラも続いた。

「罪は罪、裁きは受けさせなきゃいけないだろうけど…認めるべき所も認めてやらなきゃいけない…そいつは…デカイ仕事を成し遂げた」

当然この二人が俺を擁護するのだ。

かつては俺に命を狙われたナハトまでもそれに加わる。

「ドーラ貴族として…私もヴァン・アルナークの減罰を…検討してもらいたい…」

全く。

こいつらは揃いも揃ってお人好しだ。

本人が煮るなり焼くなり好きにしろと言っているのに、わざわざ国家にまで盾突く。