『海斗!!!!』


あたしは何回、あなたの名前を呼んだかな?


何十回?
何千回?
何万回?


きっとあなたは無限大って答えるでしょ?


だってあたし達はいつも一緒だから。


海斗は翼のように大きく手を広げ、優しくあたしを包み込んでくれた。


少しショッパイ塩の匂い。


あたしは好き。


ヤバい。


涙が溢れちゃう……。


もうやめるんだ。



海斗を、笑顔で送り届けないと、



海斗が心配するもん。


『海斗、あたしね?


引っ越しても、お店を続けようと思うの。』


『ホント?』


『うん。今の店は、お手伝いさんがあたしが帰ってくるまで続けてくれるらしいから。



店の名前は何がいいかな?』


正直、『summer flower』が良かったけど海斗との思い出を積めたかったから。



海斗は少し考えて、






『……flower music』


静かに呟いた。


『flower music?』


『うん。


俺達の恋は、花みたいに儚く終わらなかったし、


今から音色みたいに美しく完成してくって信じてくれる。』


flower music……。


『分かった。


ありがとね、考えてくれて。』


『どーいたしまして。』


フフッと笑い合うあたし達。



『今度、お店に来てね?』


『当たり前だろ?


俺達、両親公認の婚約者だし。』


『絶対、絶対にだよ?』


『俺がいつ帰ってこないって言った?』


『でも不安なんだもん!!』


我慢してた瞳からポタッと雫が落ちた。