flower music

チリリリリン……。



『ほら?着いたぞ。』


『うん。』



最後の二人乗りは呆気なく終わってしまった。


ポワン………。


まだ、海斗と触れた部分があったかい。



『…………ねぇ海斗。』


『ん?』


自転車のロックをかけている海斗にあたしはこう言った。




『………愛してるから。


だから待ってる。


たとえ母みたいに、好きな人との記憶を忘れてたとしても、


あたしは思い出すよ。』


あたしが流した涙は、


今まで流した涙の中でも、


切ない色をしてただろう。


『………約束ね?』


昔みたいに、あたしは小指を出す。



『………うん。』



指切りげんまん


嘘ついたら………



儚い約束。



人の夢と書いて儚い。


それほど、人の夢は儚いかもしれない。


だけどあたし達は、


いつまでも繋がってる。



何時までも……



終わらないオルゴールのように。