久々の休日だと言うのに、街はすっかりクリスマスムードに染められていて、歩くだけで少しばかり疲れが滲んでしまった。


多分、カップルの放つ熱気にあてられたのだろうとは思うけど。



「嬉しいねぇ、レナからの誘い。」


「変な言い方しないでよね。
勘違いとかされたくないんですけどー。」


ははっ、と彼は笑い、居酒屋でビールを流し込んだ。


そんな姿を頬杖をついた状態で、あたしは口を尖らせながらに見つめてしまう。


彼、拓真とは、前にお店で酔っ払ってしまい、迷惑掛けたために一度食事行って以来、久々に会うのかもしれない。


まぁ、たまたま今日が休みで、本当にたまたま同じように休みだった彼から電話をもらったから、ってだけだけど。



「てか、何であたしに電話?」


「独りで飯ってのもなぁ、って感じだけど、客だとどうしても仕事モードになっちゃうじゃん?
俺だってたまには色恋抜きで飯食いたいしさ。」


「拓真って友達少ないんだぁ?」


「友達少ないレナに言われたくないって。」


まぁ、そりゃそうだ。


チェーン店の安い居酒屋に向かい合う格好で座っているけれど、やはり視界の端に映る小さなクリスマスツリーにはため息が混じる。


みんな、キリスト如きの誕生日に踊らされすぎだ。



「拓真ってさ、何でホストやってんの?」


「楽して大金稼げると勘違いしてこの世界入ったんだけど。
まぁ、現実はそうじゃなかったけどな。」


「でも、辞めないんでしょ?」


「まぁね、辞めたくなるほどの理由もないし。
それにやっぱ、男は何事も上を目指したいと思うっしょ?」


よく喋るなぁ、とどこか他人事のように聞いていた。


ジルとはお互い仕事の話なんてしたことないし、やっぱりこういうのは、少しばかり変な感じだ。