「…クリスマス、かぁ。」


思わずそう漏らしてしまえば、そんな自分に苦笑いを浮かべてしまう。


別にイベント事に張り切るようなタイプでもないけど、お店ではコスプレさせられるらしいし、周りばかりが盛り上がってる感じ。


だから多分、余計に憂鬱さを拭えないんだろうけど。


ジルはきっと、頼めば無理やりにでも時間を作ってくれるだろうし、そういう男だけど、あたしは別にそんなのなんて求めてない。



「レナ、クリスマスの予定は?」


「同伴でーす。」


「違うよ、プライベートで。」


「ないね。」


「…寂しい女。」


「うるさーい。」


葵がホストの彼氏とどんなクリスマスの予定を立ててるのかは知らないけれど、ノロケられても困るので、あたしは何も聞かなかった。


てか、寂しい女だと罵られるためにキャバで働いてるんじゃないし、ましてや彼氏を作るためでもない。


それでもシュウの手掛かりは未だゼロだし、本当に虚しくなるばかりだ。



「ジルさん、だっけ?
クリスマスだし、レナに会いに来るんじゃない?」


「てか、あたしに会いに来るためにお店来てるんじゃないと思うよ。
飲みたいだけだろうし。」


「でも、仲良いじゃん。」


「まぁ、悪くはないよ。」


「…何それ。」


「葵があの人に何期待してるか知らないけど、別に何でもないんだよ。」


ホント、何でもないんだから。


てゆーかあたしは、人生にも、ジルにも、期待なんてしたくはないのだ。