「寂しいですよぉ!」


「またすぐに会いに来てあげるよ。」


「じゃあ、約束ですよ?」


「あぁ、わかってる。」


そう、泣く泣くのように下ネタ連発野郎を見送り、あたしは肩を落とすようにしてため息を吐き出した。


こんな仕事が、一体何になると言うのだろう。


シュウを見つけると言っても、どうやって?


警察でも見つけられないのに、あたしがこんなところで酔っ払いの相手してるだけで、見つけられるはずもないじゃない。


いっそ、探偵とかがお客になってくれたら、あたしは喜んで体差し出して、アイツのことを探してもらうのに。


キャバクラなんて、結局のところ受け身でしかないのだから、嫌になる。



「あーあ、頭痛い。」


底の空いたバケツとは、何とも不便だな、と感じた。


ジルと会ってたときの嬉しさとか安心感とかも、全部留まることなく流れてしまうのだから。


そして蛇口から垂れ流されているのは、今日も真っ黒い色したものばかり。



「レナさん、3卓お願いします。」


「ふぇーい。」


戻って来てすぐのこと、早速黒服に呼ばれ、あたしはげんなりしてしまう。


コイツが笑顔だったらあたしもつられて笑うことが出来たのだろうが、この店の黒服は総じて感情を表に出すことはない。


そう教育されているのか知らないが、今日もつまんなそうな顔しやがって、と一瞥してやった。