ジルが立ち上がり、あたしも続いて立ち上がる。


手は繋いだままで、まるで江戸時代の無理心中のようだと思った。


身分の違いに悩み抜いた恋仲の男女は、ふたりで手を繋ぎ、水の中へと入ったのだと言う。


来世では結ばれますように、と。


そう考えると、何だかとてもロマンチックなことに感じた。



「行くぞ。」


ジルは低く呟いた。


こくりと頷くと、彼はフェンスに掛けていた手をゆっくり離す。










「キヨ!」










ただ、驚く以外になかった。


あたし達の決意は、そんな声によって制止されたのだ。


何で止めるんだろう、何でジルは振り返ったりしたのだろう。


ギンちゃんと、そして嶋さんの姿だった。