ただ、子供のように首を振ることしか出来ない。


それでもジルは、言葉を続ける。



「どこも行くなよ。」


言葉とは裏腹に、弱々しいばかりの台詞だった。



「お前のこと、一番大事だった。
けど、一番傷つけた。」


それでも一緒に居てぇんだよ。


かすれた声色にこくりとだけ頷くと、いつの間にかジルの手には熱が戻っていて、やっぱり安堵することしか出来なかった。



「俺と一緒に死ぬ気、ある?」


あの日と同じ言葉。


あたしは口元を緩め、また頷いた。


もう、誰かを傷つけて、苦しんで、背徳者のように生きるのにも、疲れたね。


だからこれがあたし達の、最良なのかもしれない。



「死のう、一緒に。」


花穂サンのところに行くわけでもなく、シュウに会うためでもない。


ふたりだけで逃げるには、もうそれしかなかったのだ。


ジルはあたしを連れて行くために、目を覚ましたのだろうと思ったから。


繋いでいた手を離し、今度は小指を絡め合った。


あたし達の、これが最後の、そして唯一守られる約束だ。



「ギン、呼んできて。」