「アイツがこの世に留まる理由がないねん!
このままやったらアイツ、ホンマに死ぬかもしれんのや!」


見たこともない、必死な顔のギンちゃん。


体を揺すられ、ぞっとした。



「…レナちゃんが呼んだら、もしかしたらアイツ、帰ってくるかもしれんから…」


そこまで言って、彼は唇を噛み締める。


ふと、ギンちゃんが手に持っているものに視線を落とした時、またぞっとした。


それはこの前、シュウの墓前で会ったときにジルが羽織っていたシャツだ。


先ほどまではよく見えていなかったが、それには染みのように、何かがこびり付いている。


驚いて、思わずギンちゃんの手を振り払うと、掴まれていた場所は微かに赤く滲んでいた。


血の色だ。



「…何、これ…」


赤黒い色は、彼の服にまでこびり付いていた。


戦慄が走り、こすれたように乾いた色に、思わず嗚咽を堪えてしまう。



「手術は成功してんねん。」


ただ、意識が戻らないのだと、彼は言う。



「俺が頼める立場ちゃうのもわかってんねん!
それでも、レナちゃんが来てくれる以外、望みないねん!」


「…そんな、こと…」


「レナちゃんは、アイツが死んでもえぇん?」


まるで希望の糸に縋るように、彼は頼りない声で問うてきた。


ただ、言葉が出なかった。