フロア中の目がこちらに向いていることに気付き、あっちゃんにそう諭した。


友達ふたりで来ていた彼は、あたしに有無を言わさず怒った顔で勝手に指名を入れてしまい、すぐに逃げることは叶わない状況となる。



「何でこんなことやってんの?」


まぁ、当然の質問だろう。


何も答えず顔を俯かせたままのあたしに、「いつから?」、「どこで暮らしてんの?」と、一方的に続ける。



「…お前、ホントに愛里なんだよな…?」


最後の方は、不安そうな声色だった。


確かにあたしは、見た目も含めて変わってしまったろう。


何でそんなに憐れみの目で見られなければならないのだろうと思うと、まるであたしが悪いことでもしているかのようだ。



「愛里じゃないよ、レナ。
アイズのレナだよ。」


「…何でそんな風に言うんだよ…」


だって愛里であるあたしに、もう居場所なんてないんだもの。


レナじゃなきゃ、アイズじゃなきゃ、生きていけない。



「同情でもしてるみたいな顔しないでよ。
あたしは自分の意思でここに居るし、2年の間に人って変わるでしょ?」


だからあの頃のあたしじゃないんだよ。


そう付け加えてやると、彼は悔しげに唇を噛み締めた。