アイズはもうずっと、平穏とは無縁の中で営業されていた。
小さなことでも不満の声が上がり、ぎすぎすした人間関係ばかり見る。
ジルからの連絡はないし、だから余計に不安になって、いつ訪ねてくるとも限らない彼を待つだけの、ひとりっきりの自分の部屋。
でも、現れることはなかった。
あたしを含めたみんな、必死で自分の立ち位置から流されないようにと懸命だったのだ。
そんな時だった。
「…愛里?」
呼ばれた名前が自分のものであると気付けるまでに、時間が掛かった。
でも、あたしの名前を呼ぶ彼が誰なのかを思い出すまでに、時間は掛からなかった。
「お前、愛里だよな?!
こんなとこで何やってんだよ!」
「…あっ、ちゃん…」
責めるような大きな声の彼にたたみ掛けられ、言葉が出ない。
あっちゃんは、高校の頃に付き合っていた元彼だ。
どことなく拓真に似た人で、確かにあたしは本気で好きだった。
遊びまくってた頃に出会い、あたしの話も真剣に聞いてくれた。
けど、シュウが居なくなり、家族の関係が壊れてしまい、それどころではなくなったあたしから別れを切り出したのだ。
もちろん彼がそれを素直に聞いてくれることはなくて、でもあたしは、逃げるようにひとり暮らしを始め、夜の世界に身を置いたのだ。
会うのは実に、2年以上ぶりになるだろう。
「静かにしてよ、頼むから。」
小さなことでも不満の声が上がり、ぎすぎすした人間関係ばかり見る。
ジルからの連絡はないし、だから余計に不安になって、いつ訪ねてくるとも限らない彼を待つだけの、ひとりっきりの自分の部屋。
でも、現れることはなかった。
あたしを含めたみんな、必死で自分の立ち位置から流されないようにと懸命だったのだ。
そんな時だった。
「…愛里?」
呼ばれた名前が自分のものであると気付けるまでに、時間が掛かった。
でも、あたしの名前を呼ぶ彼が誰なのかを思い出すまでに、時間は掛からなかった。
「お前、愛里だよな?!
こんなとこで何やってんだよ!」
「…あっ、ちゃん…」
責めるような大きな声の彼にたたみ掛けられ、言葉が出ない。
あっちゃんは、高校の頃に付き合っていた元彼だ。
どことなく拓真に似た人で、確かにあたしは本気で好きだった。
遊びまくってた頃に出会い、あたしの話も真剣に聞いてくれた。
けど、シュウが居なくなり、家族の関係が壊れてしまい、それどころではなくなったあたしから別れを切り出したのだ。
もちろん彼がそれを素直に聞いてくれることはなくて、でもあたしは、逃げるようにひとり暮らしを始め、夜の世界に身を置いたのだ。
会うのは実に、2年以上ぶりになるだろう。
「静かにしてよ、頼むから。」


