携帯を無造作に投げると、あたしはベッドへと大の字で寝転がった。


不意に、ジルのいつ死んでも良いと思ってる発言を思い出し、不安ばかりに襲われる。


アイツは約束通り店に来てくれたし、自分勝手だからさっさと死んでるのかもしれないとさえ思えてくるからだ。


休みってのは嬉しいけど、でも、改めて孤独な自分を見つめ直させられるような気がした。



「…シュウも、ジルもっ…」


本当に、身勝手極まりない男たちだ。


てか、男って基本、身勝手な生き物だし。


そう、思わず唇を噛み締め、顔を覆うようにしてあたしは、幾分震える吐息にため息を混じらせた。


刹那、静かな帳にピンポーンと不愉快な電子音が響き、人の来訪を告げてくれる。


誰だよ、なんて思いながらも重たい体を起こし、あたしは玄関へと向かった。



「はいはーい。」


と、やる気なく扉を開けた瞬間、思わず目を見開いてしまったんだけど。


もう、驚く以外になくて、そのまま立ち尽くしてしまったあたしに彼は、倒れ込むように身を預けた。



「…えっ、ちょっ、ジル…?」


抱き締めると言うよりは辛うじて支えていると言った感じで、ありえないほどお酒臭い上に、その体はひどく冷たかった。


酔っ払ってでもいるのだろうか、見たこともないような感じで、戸惑うことしか出来ないのだけれど。


パタン、と彼の背中越しにある扉が静かに閉められ、僅かに訪れた沈黙に言葉を探してしまう。



「…大丈夫?」


いや、ホントに。


あたしの肩口に収まってしまった頭は持ち上げられることはなく、もちろん答えなんてものも返っては来ない。


ただ、何かあったのだろうことは確かだった。