「金用意したら、約束守ってもらえるんすか?」


「あぁ、守るよ。」


どの程度信じられるのかはわからない。


それでもジルにとっては、信じる以外にないのだろう。



「…ギンは、このことを?」


「何も知らないさ。
だからどうするか決めんのはお前だ、ジル。」


心底鬱陶しそうに雨空を見つめ、事も無さげに彼は言う。


そして、簡単なことだ、とも。



「そこのネーチャンに協力してもらえば良いだろ?
愛するテメェのためなら、風俗でも何でも行ってくれんじゃねぇか?」


そしてあたしへと、再び瞳が向けられた。



「それがダメならどこかで借りさせれば良いだろう?」


恐ろしいほど冷たい瞳だ。


その刹那、ジルは「やめろ!」と制止する。



「レナには何も関係ねぇだろ!
金なら俺が用意してやるよ、それで良いんだろ?!」


「ほう。
なら、しっかり働くことだなぁ、俺の下で、今まで通り。」


ジルはまた、唇を噛み締めた。


未だに目の前で何が起こっているのか理解出来ず、あたしは戸惑うことしか出来ないまま。