喪主は当然ながら、お父さんだった。


親族席にはお母さんと、そしてあたしが座る。


ジルにも、おかみさんにも、もちろん大将にも、同じように親族席に座ってもらった。


両親は最後までそれに納得してはくれなかったけど、でも、シュウはきっとそれを望むだろうと思ったから。


写真の中の弟は、少し少年らしさを残したような顔で笑っていた。


たくさんの中学の頃の同級生や、病院関係者、そしてあの海辺の町で知り合ったらしい人達まで参列してくれたのだ。


みんな、シュウのために泣いてくれた。


あたしは必死で涙を堪え、その光景を目に焼き付けた。


あの子が遺したもの、そして幸せに生きた証だと思ったから。


シュウは死んだ。


それでも、確かに生きていたのだ。


そしてそれは今も変わることなく、あたし達の心の中で、これからも生き続ける。


あの子が生きられなかった分、あたしは胸を張って、あの子のように生きなければならないのだと思う。


そう思わせてくれたのは、隣に座るジルだったろう、彼もまた、葬儀の間、俯くことは絶対になかった。


シュウの死に顔は、とても綺麗だったことを覚えている。


読経、電報の読み上げ。


そして火葬されるまで、空は悲しみの色に染まり、泣き続けていた。


それでもそれは、みんなから、とてもとても愛された証のようだと思った。