ただ、機械音が鳴り響いていた。


医師によって、シュウの死亡が確認される。


あたしは泣き崩れることしか出来なくて、ジルもまた、顔を覆ったまま。


大将とおかみさんは、それでもシュウの体を揺すり続け、看護師に止められていた。



「…シュウ…」


絶望だった。


悲しみのどん底なんて、そんな陳腐なものじゃない。


なのに涙が溢れ続け、苦しくて嗚咽が混じる。


思い出ばかりが溢れ出し、どれほど弟を愛していたのかを、今更になって思い知らされた気がした。



「…シュウ…」


ごめん、とばかり言うシュウ。


はにかむように苦笑いを浮かべていたね。


病気が見つかった時、アンタは自分の心配よりも家族のことを不安視していたっけ。


優しい子だよ、あたしとは正反対なくらいに。


神様はきっと、いじめっこなんだ。


こんなに優しくて良い子をみんなから取り上げ、独り占めにしちゃうんだから。


きっと、誰より生きることを望んでいたはずなのに。


あたしは幸せになんてならなくても良いからさ、シュウに幸せになってほしかった。


生きて、夢を叶えてほしかったのに。



「…レナ、もう良いから…」


ジルが抱き締めてくれた。


ひどくあたたかくて、それだけで、自分が生きていることを知った気がした。


そんなことにまた辛くなり、涙が溢れる。