死ぬ間際まで、あたしの心配だった。


握り締めている彼の手はもう冷たくなりかけていて、あたしの零す涙が落ちる。



「…泣かない、でっ、姉ちゃん…」


シュウだって泣いてるくせに。


本当は誰より生きることを望んでいるはずなのに。



「ダメだよ、シュウ!
目開けてよ、眠ったりしないで!!」


まるで不安を煽るような心拍計の音、そしてまぶたを閉じかけるシュウ。


あたしが強く懇願すればするほど、彼の顔は悲しげなものになっていく。



「…姉ちゃっ、弱い、から…頑張ってる、からっ…」


そしてジルを見つめながら、「…仲良く…」と言葉を残したのだ。


シュウが何を言わんとしているのかは、もうわからなかった。


それでもきっと、あたし達の心配なのだろう。



「おい、シュウ!」


「シュウ!!」


ジルはその時初めて、シュウの名前を呼んだのかもしれない。


それが届いたのか、届かなかったのか、彼は微笑むような顔で息を引き取った。