静かに目を開けたシュウは、頼りない瞳で涙を零した。



「…死にたく…ないよっ…」


とてもとてもか細い、生への執着。


涙が溢れ、あたしはその手を強く握り締める。



「…死なないよ、シュウは。
退院したら、また元気になれるんだよ…」


そんな言葉に、どれほどの効力があっただろうか。


それでも彼は、小さく笑った気がした。



「…おじさっ、おばさん、…ごめん、ねっ…」


ふたりは声を上げて涙を混じらせ、あたしは胸が苦しくなった。



「…姉ちゃっ…」


そして、頼りなくあたしへと瞳が投げられた。



「…姉ちゃっ…こと、ちゃんと空かっ、…てるから…」


姉ちゃんのこと、ちゃんと空から見てるから、と。


受け入れたくないと、あたしは首を横に振った。


涙ばかりが溢れ、言葉さえも出なかった。


それでも彼は、最期の力を振り絞るように、言葉を紡ぐことをやめようとはしない。



「…姉ちゃっ、こと…大好きっ…」


「シュウ!
もう良いから、喋らないで!!」


死んじゃダメだと思った。


頭の中にはもう、それだけしかなかった。



「…俺の分、まで…ちゃんと生きてっ、…幸せ、ちゃんと…」