タクシーで自宅マンションに戻る頃には、明け方ですらも近い時間。
仕事終わりと言うこともあり、さすがに疲労と睡魔に襲われながら、エレベーターを降りた瞬間。
その瞬間、視線の先に居る人物の姿に目を見開いた。
「遅ぇよ、馬鹿。」
「…何、で…」
エレベーターを降りてこちらから4つ目のドアの前には、それへと背を預けるような格好で立つ、ジルの姿。
咥え煙草で白灰色を吐き出しながら、寒そうにポケットに手を突っ込んだ状態だ。
「帰って来なかったらどうしようかと思ったじゃん。」
「…何で、居るのよっ…」
「わかんねぇけど、お前のこと待ってみた。
待つのってさ、結構辛いんだな。」
そう、少し悲しげな瞳が向けられて、あたしは唇を噛み締めるようにして自室の前まで足を進めた。
彼が放り投げた煙草は宵闇の中で放物線を描きながら、マンションの下へと捨てられる。
「帰ってよ。」
「入れろよ、中。」
だけども彼は、ドアの前から立ち退こうとはせず、体を預けたまま。
落ちてくる視線から、目を逸らすことしか出来ない。
「つか、お前の怒りの原因は何?」
睨み上げたその刹那、手首を掴まれ体が反転し、逆にドアへと押し当てられる格好で、唇を塞がれた。
小さな抵抗は意味さえ持たず、口内に押し入るように、舌をねじ込まれる。
会いたくて、でも会いたくなくて、頭の中はもう、ぐちゃぐちゃだ。
「わかったから、放して。」
仕事終わりと言うこともあり、さすがに疲労と睡魔に襲われながら、エレベーターを降りた瞬間。
その瞬間、視線の先に居る人物の姿に目を見開いた。
「遅ぇよ、馬鹿。」
「…何、で…」
エレベーターを降りてこちらから4つ目のドアの前には、それへと背を預けるような格好で立つ、ジルの姿。
咥え煙草で白灰色を吐き出しながら、寒そうにポケットに手を突っ込んだ状態だ。
「帰って来なかったらどうしようかと思ったじゃん。」
「…何で、居るのよっ…」
「わかんねぇけど、お前のこと待ってみた。
待つのってさ、結構辛いんだな。」
そう、少し悲しげな瞳が向けられて、あたしは唇を噛み締めるようにして自室の前まで足を進めた。
彼が放り投げた煙草は宵闇の中で放物線を描きながら、マンションの下へと捨てられる。
「帰ってよ。」
「入れろよ、中。」
だけども彼は、ドアの前から立ち退こうとはせず、体を預けたまま。
落ちてくる視線から、目を逸らすことしか出来ない。
「つか、お前の怒りの原因は何?」
睨み上げたその刹那、手首を掴まれ体が反転し、逆にドアへと押し当てられる格好で、唇を塞がれた。
小さな抵抗は意味さえ持たず、口内に押し入るように、舌をねじ込まれる。
会いたくて、でも会いたくなくて、頭の中はもう、ぐちゃぐちゃだ。
「わかったから、放して。」


