いくら昔からの親友だからと言って、そこまでギンちゃんを優先させる理由はわからなかった。


それでもジルが、前に俺の所為だから、と漏らしていたことを思い出すと、やはり追及出来ない過去があるのだろうとは思う。


切なさの中でキスばかり交わしながら、彼はそっと涙を拭ってくれた。


あたし達はもう、離れられない。



「ひとつだけ、絶対破らないでほしい約束、ある。」


「ん?」


「死なないで、絶対に。」


「…殺されたら?」


「許さない。
あたし、アンタが死んだ姿の確認だけは、したくない。」


「しなくて良いよ。
俺が死んだら速攻、追いかけて来い。」


「命令?」


フッと笑った彼は、あたしの首元へと手を掛けた。


段々と力のこもる指の先に、あたしは顔を歪めていく。


まるでそれは、互いの生を確認する儀式のようだと思った。


あたしに先に死なれたら困るくせに、アンタの愛は、ホントわかりにくいんだよ。



「嫌なこと全部、忘れさせてやるからな。」


マジ、良いことも全部ぶっ飛びそうじゃんか。


なのに、そう思ったあたしの心を見透かしたのか、ジルは舌を絡めるようにキスばかりを繰り返してくれた。


嬉しくて、苦しくて、やっぱり涙が溢れてしまう。


今まで溜め込んでいたもの全部が流れ出て、代わりに愛しい男があたしの中へと深く沈みゆくのだから。