我がままな王子


どれだけ諦めてください…って言
いかけた事か。
ここで断ってしまうのもいいけど
黒川君には聞かせたくない。

「僕はてっきりフラれたのかと思
ったんですよ。いつもいつも先輩
の事ばっか考えてて…」


「お前らうるせぇ」

空気を読まずにべらべらとしゃべ
り始めた池上君の声にかぶせて、
ドスの聞いた低い声。

…いつの間にか黒川君はヘッドホ
ンをはずしてこっちを見てる…。

やっぱり今の聞かれた…?

「どうもすいません!」

池上君はあわててペコリと頭を下
げた。

「ごめんね勉強中、もう行くから
…」

すごすごと退散しようとしている
のに、黒川君は私達を睨みつける
ようにして言った。