何気なく校門の方を見ると、こっ
ちを睨む黒川とバッチリ目があっ
た…。
「ひっ」
大丈夫、大丈夫。
黒川は視力が悪いって言ってたか
ら多分見えてないって!
「佐々木先輩?」
恐怖におののいてる私に、きょ
とんとした顔で池上君が言った。
「あ、あの…返事は、もうちょ
っと待って欲しいなーーーなん
て」
「はい、もちろんいつまでもお待
ちしてます」
もはや池上君の話など頭に入って
ない。
黒川大魔神の鬼のような形相を想
像するばかりで…。
「よかったら教室の前まで、ご一
緒させていただけませんか?」
満面の笑顔で微笑まれて、イヤと
言える人がいるでしょうか…
神様…。
私はそれはもう、泥棒のように
コソコソと池上君の後につく。
その間にもどんどん校門は近づい
てきて…黒川は私達の姿をはっき
り認識できた、と思う。
