「心配には及ばないよ。バイトにやらせるからさ!」


それからマスターは、「ありがとね」と付け加えた。


そしてすぐに、私の背中を軽く押す。


「さ、行った行った!こんなに他人の心配する海賊、見たことないよ」


眉を下げて苦笑するマスターに、私も笑った。


「…はい。元気でね、マスター」


私とレキは頭を下げ、酒場"Lavie"をあとにした。







レキはすごい。


初めての街で、しかも着いてから間もないのに、もう街中を把握してるみたい。


…さすが、調査班。


「だーっ、ララちゃん、そっち違う!」


「えっ、うそ」


こんな風に、さっきから何度も間違えた方向に行きそうになる私を、レキがその度に止めてくれる。


レキのため息が、嫌でも私の耳に届いた。


「ララちゃん…方向音痴だね」


「…そんなことっ、ない…つもりなんだけどな」