―――――三年後。



「~♪」


波の音が、心地よく耳に響く。


その音に合わせて、私はあの曲を口ずさんでいた。


「♪~…」


背後の気配に気づき、口を閉ざす。


振り返ると、愛しい人が微笑んでいた。


「…夢紡ぎの唄?」


「よく覚えてるね、ゼン」


あれはまだ、出逢って間もない頃。


初めての旅立ちの日に、私はこの唄を歌った。


まだ知らない未来に向けて、夢を紡いでいけるように願う唄。



冒険は、まだ終わらない。


今までいろいろな土地や人に出逢い、たくさんのことを学んだ。


でも、それはまだ世界のほんの一部で。


私の知らないセカイが…この先も待ち受けている。


「あれ、お二人さん…もしかして密会中?」


「密会もなにも、二人は恋人同士でしょ。バカレキ」


夜空の月に照らされて、レキとニーナが現れた。


レキの言葉に、思わず私は苦笑する。