目の前の出来事に、全員唖然としていた。


「………?」


その時、聞こえたんだ。


小さな…けどハッキリとした声が。


「ゼン?」


急に空を見上げた俺を不思議に思ったのか、レキが俺の名前を呼ぶ。


太陽の光が眩しくて、目を細めた。


太陽に照らされた黒い影が、だんだんと大きくなる。


その影は、真っ直ぐに俺のもとに―――落ちてきた。


「!」


ドサッという音と共に、俺は床に倒れた。


俺の腕の中には…



「―――――ゼンッ!!」



顔を輝かせた―――ララが、いた。


「え!? ララ!?」


「何でララちゃんが!?」


周囲の声なんか、どうでもいい。


ざわめきも一切気にならない。


夢じゃない。

…ララが、ここにいる。



俺は力の限り、ララを抱きしめた。


その存在を確かめるように、強く…強く。


そんな俺を、ララは何も言わずに抱きしめ返してくれた。