二人らしいと言えば、二人らしい…。
そう思った俺は、静かに微笑んだ。
…そのあと暫く、二人の口論が続いたのは、言うまでもない。
◆◆◆
深夜。
寝付けずにいた俺は、一人甲板へと出た。
比較的穏やかな海が、小さな波音を響かせている。
「…満月、か…」
空を仰ぐと、夜空に輝く丸い月があった。
強く優しく輝くその月を、ララと重ねた俺は、小さく笑った。
ララと出逢ったあの日が、鮮明に思い出される。
それがつい昨日のことのように思えて、少し悲しくなった。
…頭に浮かぶのは、レキの言葉。
引き留めたかった。
一緒にいて欲しかった。
…サンに、渡したくなかった。
そう考えた俺は、どこまでも子供のようだ。
けどそんな俺の考えは、ララを妨げる。
ララの決断を鈍らせると分かっていたから、俺は何も言わなかった。
―――言えなかった。


