でも、ここはレキとニーナの問題。
俺は口を挟まないよう、黙って二人を交互に見ていた。
「俺…嬉しかった」
レキが突然、ポツリと呟いた。
「ニーナの気持ちを知って…嬉しかったんだ。何でか分かんないけど」
「…最後の一言は余計でしょ」
ニーナは小さく笑うと、瞳にうっすらと涙を浮かべたまま、レキに言った。
「男ならハッキリしなさいよ」
「ぐっ…」
「あたしに、どうして欲しいの?」
まるで小悪魔のように、ニーナはニヤニヤと笑ってレキに訊ねた。
きっともう、レキの気持ちにも気づいているんだろう。
「………ニーナ」
レキはそう言って、真剣な眼差しでニーナを見つめた。
「俺とチュー…」
「ふざけんじゃないわよっ!」
ニーナの平手打ちが、見事に室内に響き渡った。
「ってぇ~!ハッキリ言えっつったじゃんか!」
「あんたは順番ってモノを知らないの!?」
ぎゃあぎゃあと始まった喧嘩に、みんな唖然とした。


