紺碧の地図


その言葉が信じられないのか、ニーナは目を丸くする。


レキは照れ臭そうに頭を掻いた。


「すぐ口論になるけど…それで救われてるっていうか、なんていうか…」


「…やめてよ」


「口はキツイけど、気が利くし…」


「やめてったら!」


声を張り上げたニーナは、顔を真っ赤にして、その瞳は今にも泣き出しそうに見えた。


「何なの、いきなり…バカじゃないの」


「バカじゃねぇし」


「バカよ」


いつものやり取りに見えて、そうじゃない。


穏やかな空気が、二人の間にはあった。


「訳わからない…あたしが今まで、どんな気持ちでっ…」


「知ってた。ニーナの気持ち」


レキがそう言うと、ニーナは言葉を失ったようだった。


「言っとくけど俺、自分の気持ち表すのは下手だけど、他人の気持ちには敏感だよ」


「…自慢になってない」


レキに反論することで、ニーナはなんとか自分を保っているようだった。


…二人共、素直じゃない。