紺碧の地図


「あたしはあんたなんかに負けないわよ」


「は!? 俺が勝つに決まってんだろ…って違う!」


レキが何度も頭を横に振ると、ニーナは不審そうに眉をひそめた。


「何?ハッキリしなさいよ」


「ハッキリって…、だからっ…!」


見てるこっちも焦れったくなって、俺はニーナに対して口を開いた。


「…いつも気になる子が話しかけてくれるのに、素直になれないらしい」


「気になる子…?」


「ばっ、ゼン!!」


「…つい、喧嘩になるって。自分の気持ちを誤魔化すのに、他の女の子ばっかり気にするフリをしてる」


俺が何を言ってるのか分かったのか、ニーナの頬が少しずつ赤みを帯びた。


けれど、それを否定するかのように、すぐに首を振る。


「…何よ!からかってるの!?」


「からかってなんかねぇよ!」


レキの声に、ニーナが口をつぐむ。


レキは自分の大声に少し驚いているようだったが、すぐに言葉を続けた。


「…ニーナには、感謝してるんだ」