ニーナはごくりと喉を鳴らすと、ゆっくりと口を開いた。
「私たちを…想って?」
問いかけるような言葉でも、どこか確信を含んだ声音だった。
「どういうことだよ、ゼン」
「…ニーナの言う通りだよ」
レキにそう答えると、俺は続ける。
「ララは…きっとこう考えた。自分は人魚の神の子。狙われる可能性は高い。…自分がいることは、その仲間にとって荷物になる」
「…っ、そんなこと!」
声を荒げるレキに、俺は頷いた。
…そう。そんなことはないのに。
それでもララは、きっとそう考えたんだ。
「…ララは、俺たちを選ばないことで、俺たちを護ろうとしたんだ」
俺たちに、迷惑をかけないように。
俺たちを、傷つけないように。
「…俺は、そう思うよ」
小さくそう呟いて、誰にともなく苦笑した。
ララの本心は、ララにしか分からない。
何も考えず、サンを選んだのかもしれない。
…それでも、ララは俺たちを想ってくれていたと、そう信じたい。


