「…平気なわけ、ないだろ。ララは俺にとって、大切な存在だった」


「ゼン…」


「でも、」


俺は言葉を区切って、辺りを見回した。


その場にいた誰もが、俺たちの会話に耳を傾けていた。


それを確認した上で、俺は言葉を続ける。


「…ララが俺たちを選ばなかったのは、理由があるかもしれない」


静まり返った室内。


いくつもの瞳が、俺を見つめているのを感じた。


「理由…?」


レキが眉をひそめて問いかけた。


「…理由。ララの性格だったら、どちらかを選ばなきゃいけない時、何を考えると思う?」


レキは何でそんなことを訊くんだと言うように、顔をしかめた。


「何って…どっちが大切かとか、どっちと一緒にいたいかとか」


「…普通はな」


そう、普通は。

それだけで判断してしまうだろう。


「まさか…」


何か閃いた様子のニーナが、口元を覆った。


船員たちは一斉にニーナを振り返る。