暫く経ったあと、サンが視線を私に向けた。


「ララ…お別れだな」


「…うん」


申し訳なさとか、悲しみとか…感謝とか。


いろんな感情が渦巻いて、頷くことしかできない。


「…帆、気に入ってくれた?」


「…!うんっ!」


弾けるように勢いよく返事をした私を、サンは笑う。


「また逢えるよ、ララ。それまで…それぞれの道を、真っ直ぐ進もう」


「…うん」


相変わらず、私は頷くことしかできなかったけど。


それでも…新しい旅立ちに、胸が高鳴っていた。


「月の、涙みたいだ」


サンはそう言って、私の涙を拭った。


「…元気でな、ララ」


私は今きっと、本当の笑顔で笑えてる。


出逢えて、よかった。


私とあなたが出逢ったのも、きっとひとつの運命だった。



「―――――ありがとう、サン!」



そう言って私は、海に飛び込んだ。


たちまち竜巻が起こり、私を運び始める。





遠くなっていく太陽と月を、私は見えなくなるまで見つめていた―――…