その成果は、この船のみんなのおかげでもあった。
初めて会った人ばかりなのに、みんな私を励ましてくれた。
中でも一番頼りになったのは、ジークだった。
「ララ、その調子だ。次は、波の流れる方向を変えるように意識するんだ」
「うん!」
力を操れるようになる中、気になったのは…サンだった。
姿を見かけることが、あの日以来なかったから。
私は意識を波に集中しながらも、辺りに視線を巡らせた。
大勢の船員たちの中に、くっきりと目立つ赤い髪はなかった。
やっぱり、私が傷つけたんだ…
「ララ、余所見するな!」
「ごめんなさいっ」
ジークのスパルタ特訓に耐えるべく、私はサンのことを無理やり頭から追い払った。
…サンを傷つけた私が何を言っても、またサンを傷つける。
このまま黙ってサンから離れた方が、きっといいんだ。
そんなことを考えながら、私は必死に特訓をし続けた。
ついに自由に操れるようになったのは、それから一週間後のこと。


