…いっそ、怒鳴ってくれればよかった。
ふざけるなって、声を荒げてくれればよかったのに。
「…うん」
なのにサンは、そう言って微笑んだ。
「分かってた。ララが想うのは、もう俺じゃないってことぐらい」
サンの香りが、少しずつ遠退いていく。
窓辺で立ち止まると、サンは閉まっていたカーテンを開いた。
「…分かってたけど、諦められなかった」
外を眺めたまま、小さく呟かれた言葉に、胸が締めつけられる。
「ララ。一つだけ教えて欲しい」
サンは振り返ると、真剣な顔で問いかける。
私は一拍置いて、静かに頷いた。
「ゼンを想うのに、俺を選んだのは何故だ?気の迷い…それとも同情?」
「…っ、違う!」
私が声を上げると、サンは目を丸くした。
…勘違いしてほしくなかった。
「私がサンを選んだのは―――…」
もしかしたら、気の迷いや同情よりも酷いかもしれない理由を、私は口にした。


