紺碧の地図


波のぶつかり合う音が、やけに大きく聞こえる。


「………っ」


「…ララさ、」


もう一度サンの名前を呼ぼうと口を開くと、先にサンが私の名前を呼んだ。


口をつぐむ私を見て、サンは信じられない言葉を続けた。



「もしかして―――誘ってる?」



………誘っ、てる?


「…へ?」


何とも間抜けな返事をした私は、ポカンと口を開けてサンを見つめる。


「男の部屋に来るってことは…」


サンが一歩、近づく。


「そういうことなのかって、思ったけど?」


「そそそそういうことって!?」


すぐ目の前にいるサンの瞳が、悪戯に笑った。


「…こういうこと」


私の髪に触れていたサンの右手は、するりと頬に降りたかと思うと、さらに下降して顎を持ち上げた。


しっかりと絡む視線から、逃れることなんてできない。


心臓がバクバクとうるさくて、私は口も利けず、ゆっくりと近付いてくるサンの顔を、ただ見ていることしかできなかった。