納得いかないような顔をしているサンの腕を、私はぐいっと引っ張った。


「案内してくれるんでしょ?」


「そうだけど…」


「本当に大丈夫だよ!…お願い、サン」


―――お願いだから、私の心を揺らさないで。


口には出さなかったその想いが伝わったのか、サンは軽く唇を結んで…頷いた。


「じゃあ、まずは地下から」


「うん!」


私は、上手く笑えてるかな。


心から笑えるようになるには…どのくらいの時間がかかるかな…?





サンの船はQueen号に比べて、部屋数が格段に多かった。


船員の数に比べたら当然かもしれないけど、地下が迷路のように複雑に入り組んでいて驚いた。


「わー、すごいね…」


「ララの部屋は一階にするよ。俺の部屋の近く」


サラリと言われて、私は思わず顔を赤らめる。


そんな私を見て、サンが意地悪な笑みを見せた。


「いっそのこと、一緒の部屋にする?」


「!け、結構ですっ!」