「違っ!俺はてっきり、ゼンを選ぶかと…」


サンの声が小さくなっていくのが可笑しくて、私は笑った。


「間違えてなんかないよ。私は…サンと、共に行く」


しっかりと、サンの瞳を捉えて言う。


一瞬揺れたサンの瞳は、すぐに優しく笑った。


「―――歓迎するよ、ララ」


ワッと割れんばかりの拍手と歓声に包まれ、私も笑った。


…そう。間違えてなんかない。


私が選んだ道は、間違ってなんかないよね?



決意したはずなのに、どこか迷ってしまう。


みんなの顔が…思い浮かんでしまう。


「…サン!船内を案内してほしいな」


頭の中を廻る考えを消したくて、私はサンにそう提案した。


「ん?ああ、いいよ」


サンは頷くと、両手を二回鳴らした。


「よし、出航だ!」


サンの掛け声に、威勢のいい返事が木霊する。


錨が上がり、船がゆっくりと動き出した。


街が、遠くなる。


みんなとの距離も―――開く。