―――ピピピ…


まだ空が薄暗い中、小さな電子音が響いた。


私はゆっくりと起き上がると、部屋の異変に気付く。


「…ニーナ…?」


ニーナがいたベッドは、綺麗に片付いていた。


それと同時に、ゼンたちの考えがわかった。



―――私の、ためだ。


私を一人にして、決断ができるようにしてくれたんだ。


「…優しいんだから」


本当に、優しい。


そんなみんなが、私は大好きなの。


だから…



私は窓を開け、外の空気を吸い込んだ。


冷たい風が、頭をスッキリとさせてくれる。


「…うん、大丈夫」


そう自分に言い聞かせ、私は走ってジークの家を出た。


走って、走って。


足が、迷わないように。



―――大好き。大好きなの。


私が想うのは、あなた一人だけ。


あなたがくれた光を、私は失いたくない。



目的の船を前に、私は息を弾ませた。



「…大好きだよ」





―――さよなら、ゼン。