約束の日まで、時が過ぎるのはあっという間だった。
この街から離れることもあって、いつも通りの街の調査を終え、私たちは観光を満喫した。
私の中の地図は、昔みたいに狭くない。
これからもっと世界が広がると思うと…胸が高鳴った。
そしてついに、約束の日の前夜。
ジークから一通の手紙を渡された。
「…?誰から?」
「サンからだよ」
その名前に、無意識に体が強張る。
内容が明日のことだとわかると、手紙を開ける手が震えた。
「………」
予想に反して、紙には短くこう書かれていた。
―――"明日、六時に港を発つ"
…明日。
この言葉が、急に現実味を帯びて頭に響く。
「…六時か…」
「っ!? ゼ、ン!?」
横から聞こえた声に驚くと、ゼンがいつの間にか隣にいた。
「六時…」
もう一度そう言うと、手を顎に添え、ゼンは横目で私を見た。