レキの体は、そのまま落ちていたら、コンクリートに打ち付けられていたと思う。
レキを救ったのは…その下にいる、人物。
「…何やってんの」
「いってぇ~…って、ゼン!」
ゼンの上に、レキは倒れ込んでいた。
不機嫌そうなゼンに、レキは苦笑する。
「や~あはは、よく助けてくれた!」
「…あのバカはついに犯罪でもしようとしてるのかと思ったら…落ちてくるし」
「俺どんだけだよっ」
ゼンとレキのやりとりに堪えられなかったのか、ニーナが噴き出す。
「~あははははっ!」
「笑い事じゃねぇぞニーナッ!大体お前のせいで落ちたんだぞ!?」
「…人のせいにしない」
「ゼンー!?」
私も思わず笑うと、ゼンと目が合った。
…うん、大丈夫。
そう言う代わりに、私はゼンに微笑んだ。
あと二日。
私は笑って、過ごせるよ。
…ゼンの優しい微笑みが、私の想いを強くさせた。


