紺碧の地図


いつもなら、「何笑ってんのララちゃん!助けてよ!」って涙目で言いそうなのに。


今日のレキはどこか違って、安心したように微笑んだ。


「…よかった。元気そうで」


「…え?」


そんなレキの表情は、すぐにいつもの顔に変わってしまった。


「てかニーナ、俺登ったはいいけど…どうやって降りよう」


「知らないわよ。落ちればいいんじゃない?勢いよく」


「いや死ぬから!殺す気か!」


…心配、されてた?


いつものように騒ぐレキとニーナ。


でも、いつも以上に…私は二人に、心配されてるんだ。


「ちょ、ララちゃん助けて!ニーナに殺られ…っわ!」


「!?」


「バッカ、ちょっとレキ!?」


レキは足を滑らせたのか、窓枠から急に姿を消した。


慌てて窓の下を覗き込むニーナに続いて、私も体を乗り出す。


「レキッ!大丈―――…」


すぐ下の光景に、私は言葉を詰まらせた。


レキは大丈夫そう…だけど。