◆◆◆
―――朝。
目を覚ました私は、ゆっくりと起き上がった。
…ここは、ジークが貸してくれた部屋。
すやすやと寝息を立てて眠っているニーナが目に入り、私は微笑んだ。
あのあと、泣き続けてたいた私を捜しに来てくれたのは…ニーナだった。
ゼンじゃなくてよかったと、心からそう思った。
あのときゼンの顔を見たら…私はきっと、想いを打ち明けていたと思う。
ニーナは何も言わず、ただ微笑んで私の手を握った。
そんなニーナの優しさに触れながら…私はジークの家に帰ってきた。
泣きそうな表情をしたレキに抱きつかれそうになって。
ジークにごめんって謝られて。
ゼンに…"おかえり"って言われた。
心が熱くなったけど、もう泣かなかった。
私が逃げてちゃ…ダメだと思ったから。
だから、「ありがとう」って。
精一杯の笑顔で…お礼を言ったの。


