「…そっか。なら俺も、海賊に戻ろうかな」
今までずっと黙っていたジークが、突然口を開いた。
その発言に、私は目を丸くする。
「え?膝は大丈夫なの?」
「サンの厚意で、治療は絶えず続けてたし。また海に戻るのも、悪くないかなーって」
ジークの表情はどこか輝いていて、一人の海賊なんだと実感する。
「それに…ララがいるなら、いいかな」
向けられた優しい瞳に、ドキッとした。
もう…今日は心臓がもたないよ。
「こらてめぇっ!何ララちゃん口説いてんだよっ!」
「この街…サンが造ったって知ってる?」
「シカトー!?」
レキの大声を無視しながら、ジークが私に質問を投げ掛ける。
「え…サンが?」
英雄って言われてるのには…サンが街を造ったことも関係してるの?
「初めてこの街に来た時、ララは何で水の上に街があるのか、疑問に思ってただろ」
そういえば、その疑問にジークは「知りたい?」って声をかけて来たっけ。


