身体が離れると、すぐに温もりが欲しくなる。
目の前にいる愛しい人を、抱きしめたくなる。
「…帰ろうか」
「…うん」
でも、それは許されない。
私が決断を下すその日まで…待ってて、ゼン。
歩き出すと、お互いの手の甲が触れて、どちらからともなく手を握った。
小さな温もりが愛しくて、視界が滲む。
―――"お前も、ララが好きなんだろ?"
サンの問いに、ゼンは否定をしなかった。
―――"敵なのに、隠す必要ないよな"
肯定ともとれるゼンの言葉に、舞い上がっていた。
…でも、ゼンはいつだってゼンで。
サンに誘われたと言っても、選ぶのは私だと…そう言った。
あの時「行くな」って言われたら、私は迷わずゼンを選んだ。
それを言わないのは…ゼンの優しさなんだ。
私は、繋がれた手を離したくないと―――そう思った。
そう、思ったんだよ。
ゼン…


