ゼンは私の頭を撫でながら、ゆっくりと唇を動かした。
「…あんたの信じる道を、行けばいい」
「………」
「あんたが行きたい道を、選べばいいんだ」
…そんな簡単に、言わないで。
そう言いたかったけど、ゼンの優しい表情を見たら言えなかった。
「…三日後、サンは出航するって」
代わりに、私はそう言った。
「それまでに考えてって言われた」
「…そう」
ゼンは短く返事をすると、一瞬瞳を細めた。
そして、すぐに口を開いた。
「…じゃあ、俺たちも三日後に出航する」
「え…」
私が目を見開くと、ゼンは苦笑した。
「…そんな驚かなくても」
「だ、だって…!」
「…同じ条件の方が、選びやすいかと思って」
選びやすくなんかない。
余計に悩むよ。
だって、三日後には…
―――どちらかとは、サヨナラするってことでしょ…?
そんなの…そんなの、嫌だ。


