みんなといる喜びを知ってしまった。
だから私は、もう独りには戻れない。
…独りで生きていける自信が、ない。
でも、私の存在は、確実にみんなの負担になる。
人魚という、神の子という事実を…変えることはできないから。
「…わからない」
ポツリと出た言葉は、本音だった。
私が選ぶどの道が正しいのか、わからないよ。
最初は、ロジー…サンに逢うことが目的だった。
その約束の為に、ゼンの船に乗せてもらった。
サンに出逢えた今、私はサンのもとに行くのが正しいのかな。
「………」
不器用に、けど優しく、ゼンの手のひらが私の頭を撫でる。
そっと顔を上げると、優しく微笑むゼンがいた。
―――でもね。
私は、ゼンたちのそばにいる心地よさも、知ってしまったの。
サンも大事で、ゼンたちみんなも大事なの。
どっちも選べないなんて…いつから私は、こんなに贅沢になったんだろう。


