勢いよく起き上がった私は、乱れる呼吸を整えようと喘ぐ。



―――夢、だった。



ぎゅう、と胸元を強く握った。


体の震えはおさまらず、私の荒い呼吸が部屋に響く。


「ひさ…し、ぶりだ…」


久しぶりにみた、幼い頃の記憶。


…家族が殺された、あの日の記憶。


「………っ」


突然溢れ出した涙。


忘れたいのに、忘れられない。


六年が経った今でも、鮮明に思い出してしまう。



あの日に負った、背中の傷跡が疼く。


その傷跡が、この忌々しい過去の出来事を、忘れさせてくれない…。


「おか…さ、お…とうさ…」


ボロボロと溢れる涙が、強く握った拳に零れ落ちる。


何度、ひとりの夜を越えたんだろう。

何度、月夜を見上げては涙を流したんだろう。



この恐怖は、いつになったら消えてゆくの?