ものすごく苦しそうな顔で、サンは続けた。
「結局俺も、あいつらと変わらない。自分が生きる為に、本当に大切だった命を売ったんだ」
その微笑みは、今まで見たどんな表情よりも、深く、辛い哀しみを表していた。
…そんなのひどいとか、仕方なかったねとか、私には何も言えない。
ただ、胸の奥が痛みで疼いた。
「…俺たちの海賊船がQueen号を襲った時、俺は真っ先に父さんと母さんの所に行ったんだ」
サンは微笑んだまま、空を見上げた。
「俺を見た二人は、驚いて…すぐに状況を悟ったらしい。けど俺に向けられた視線は、温かくて…涙が出た」
血は繋がっていなくても、サンは二人にとって大切な息子だった。
だからきっと、サンの間違いを責めることなんて…できなかったんだ。
「父さんと母さんは強い。死を覚悟して、俺とゼンの無事を祈ったんだ」
空をじっと見つめたまま、サンは唇をきゅっと結んだ。


