紺碧の地図


けどすぐに、その表情は歪んでいった。


「その幸せを壊したのは…俺だった」


言葉と同時に、サンは掌をぐっと握った。


それまでの過去を、握りつぶすかのように。


「信頼出来る仲間だったからこそ、俺は気を許しすぎてしまったんだ」


そこでサンは、私に視線を向ける。


「ゼンとその両親が、天空人の末裔だってことは知ってるよな?」


「…うん」


天空人は、その治癒力から恐れられ、排除の対象とされた人種。


今この世界で、天空人は絶滅したとされている。


でもゼンは…その天空人の一人。


「家族同然だった俺も、その事実は知っていた。…それを、言ってはいけないとも聞かされていた」


なのに、とサンは続けた。


「俺はつい話してしまったんだ。家族が、天空人の末裔だと」


予想していた答えに、私はどう返せばいいかわからなかった。


少しだけ眉を寄せると、サンは私を見て苦笑した。